(岩波書店・2860円)
理系の素養まで併せ「何ものにも自由」
池澤夏樹という名前を初めて見た時、鬱蒼(うっそう)とした森を爽やかな風が吹きぬけてきたような気がした。それから四十年、この世界文学の健脚の旅人は、日本...
『写真が語る敗戦と占領』より、がれきの街を歩く母子。東京区部は60回を超える空襲を受け、罹災(りさい)者は約300万人、罹災住宅は約70万戸に上った、とある。
(ちくま新書・1320円)
大日本帝国は19世紀末から外...
永瀬、無慈悲な金打ち
劣勢かつ1分将棋という二重苦のなか、中村は歯を食い縛って指し続ける。目は死んでいない。7、8、9……まで秒を読まれて、慌て気味に[先]9一竜。時間切れになりそうで心臓に悪い。
永瀬も負けず劣らずタフだ。闘志とは無縁の手付きで、しかし先手玉を締め上げていく。仮に千日手になっても、喜んで指し直し局に臨む体力が残...
15歳で初タイトル
藤沢の初タイトルは本棋戦。前身の「第1回会津中央病院杯・女流囲碁トーナメント」、2014年に藤沢二段は決勝で奥田あや三段(段位はいずれも当時)を破って初優勝。15歳9カ月は当時の女流棋士史上最年少記録だった。
「この棋戦ができたとき、まだ弱かったのに気合が入っていたんです。停滞していた時期でしたが、初タイトル...
毎日新聞のニュースサイトに掲載の記事・写真・図表など無断転載を禁止します。著作権は毎日新聞社またはその情報提供者に属します。画像データは(株)フォーカスシステムズの電子透かし「acuagraphy」により著作権情報を確認できるようになっています。...
(講談社・2035円)
「忘れることはなくなること」への対抗
「今から十年くらいあとの話」
柴崎友香の新作『帰れない探偵』は、七つのセクションでできている。そのセクションにはそれぞれ題名が付いていて、独立した短篇...
(文春新書・990円)
不安定な多極化の俯瞰と提言
掲題書著者の中野剛志氏といえば、MMT(現代貨幣理論)の理論的支柱だ。
そしてMMTといえば、最近よく聞かれる以下のようなフレーズの論拠でもある。「自前の通貨を発行している日本のような国は、幾ら国債を刷っても財政破綻しないので、どんどん借金して積極財政で景気を良くしましょう」...
(世界文化社 1760円)
17歳、思春期まっただ中のわたしは社会や政治に対する疑問にとらわれ、自分の存在価値や生き方に迷っていました。野口体操で知られる東京芸術大学の野口三千三(みちぞう)先生に出会ったのはちょうどその頃、神奈川県立青少年センターで開かれた演劇講習会に参加したときのことです。
「成人のからだの60~70%は水...
「生誕100年記念 小林抱牛展~魂はハジケ出る! 今ふたたび~」(主催・毎日新聞社、毎日書道会、小林抱牛生誕100年記念展実行委員会、後援・独立書人団、上野の森美術館)が6~12日、東京・上野の森美術館(東京都台東区上野公園1の2)で開かれる。小品から超大作まで約50点の作品により、書人の熱い思いに触れられる貴重な機会だ。【桐山正...
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