第84期名人戦A級順位戦 中村太地八段-永瀬拓矢九段 第2局の7

Date: Category:カルチャー Views:4 Comment:0

永瀬、無慈悲な金打ち

 劣勢かつ1分将棋という二重苦のなか、中村は歯を食い縛って指し続ける。目は死んでいない。7、8、9……まで秒を読まれて、慌て気味に[先]9一竜。時間切れになりそうで心臓に悪い。

 永瀬も負けず劣らずタフだ。闘志とは無縁の手付きで、しかし先手玉を締め上げていく。仮に千日手になっても、喜んで指し直し局に臨む体力が残っていそうだった。

 7筋を連打で押さえた後、永瀬は[後]8三金とはじいた。心をへし折る、無慈悲な金打ち。[先]9五馬に、さらに[後]9四歩と追い詰める。徹底して馬をいじめ抜くことが、自玉の安全につながり、ひいては勝利に結びつく。「将鬼」と化した永瀬に、いささかのためらいもない。

Comments

I want to comment

◎Welcome to participate in the discussion, please express your views and exchange your opinions here.