
強まる酷暑。解けゆく氷河。姿を消す希少動物……。いま地球は、生き物たちはどうなっているのでしょう。いつもより時間の取れるこの夏休み、環境問題について知る読書はいかがでしょう。分かりやすく、それでいて深く学べるお薦めの一冊を、環境分野を担当する4人の記者が選びました。(価格は税込み)
「グリーンランド 人文社会科学から照らす極北の島」(高橋美野梨編、藤原書店、3960円)
舞台は、日本の面積の約6倍ある世界最大の島である。四半世紀前、超高層大気の観測で訪れた村の光景が忘れられない。巨大な氷床に、フィヨルドを低空で飛ぶ米軍機。先住民の暮らしは自然と共生する狩猟が中心と習った記憶があるが、観光で成り立っているように映った。
グリーンランドとは一体何だろうか。国際政治学を専門とする編者ら9人の専門家が、デンマーク領となった歴史的経緯、先住民の世界観、文化などを多角的に論じた。差別的といわれた「エスキモー」という呼称、捕鯨を巡る儀礼、人魚姫にまつわる話題も興味深い。
今、北極域では国家の覇権争いが激しい。背景にあるのが…
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