高円宮妃久子さまが撮影された野鳥の写真展「あわい―春夏秋冬」が長野県東御市滋野乙のギャラリー「山海美庵(さんかいびあん)」で開かれている。満開の花を咲かせた桃の木に一瞬だけ羽を休めたモズをとらえた写真など「信州と野鳥」をテーマにした25作品が日本家屋のギャラリーに飾られている。15日まで。
山海美庵で1日に開かれたレセプションで、久子さまはコハクチョウがはばたく雄大な写真を前にあいさつ。「アマチュアの鳥好きが、最新の良いカメラと良いレンズに救われながら撮った写真とお考えいただきたい」と場を和ませ、「主役はあくまで鳥です」と野鳥の魅力を笑顔で語った。
久子さまは大学時代は写真部に所属。旧姓は「鳥取」で、幼い頃から鳥に親近感があったという。今は国際環境NGO「バードライフ・インターナショナル」の名誉総裁を務める。超望遠レンズを持って各地で撮影を続け、環境保護の大切さも伝えてきた。
墨による抽象表現を確立した国際的な美術家の篠田桃紅さん(1913~2021)を通じてギャラリーのオーナーと交流があり、今回の写真展開催が決まった。
写真展にあわせ、入り口には篠田さんの書「無為」と久子さま撮影の巣穴から飛び立つキバシリの写真が展示されている。桃の花の中にいるモズを撮った写真もあり、そのうちの1枚は篠田さんが亡くなった直後に追悼の気持ちを込めて久子さまがギャラリーに提供した作品という。
自然の豊かな長野で愛らしい野鳥の撮影を続けながら、環境の変化を肌で感じてきた久子さま。花岡利夫市長らレセプションの参加者を前に「たくさんの鳥が見られなくなる日が来ないよう、環境を守り続けていただければと思います」と呼びかけていた。
入館は正午から午後4時半まで。火曜日休館。入館料は1000円でドリンク付き。問い合わせはギャラリーサンカイビ(03・5649・3710)へ。【山田奈緒】
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