5日に開幕した第107回全国高校野球選手権大会の開会式は史上初めて夕方に開かれた。日中よりは日差しが弱まった中での開催だったが、観客や選手からは「風があって涼しかった」「やっぱり暑い」とさまざまな声が上がった。大会ではほかにも選手や審判、応援団への暑さ対策を進めている。
「昨年は暑くて汗がだくだく流れたけど、今年は夕方開催で風もあった。日差しも強くないのでやりやすかった。大会運営の方々が選手を第一に考えてくれていることに感謝しながら試合に臨まなければいけない」。昨年の開会式にも参加した関東一(東東京)の越後駿祐主将(3年)は夕方開催に好意的な様子。東大阪大柏原の竹本歩夢主将(3年)も「これまでは暑そうなイメージだったが、思っていたより涼しかった」と話した。
一方、観客にとっては夕方開催でも暑さがこたえたようだ。開幕試合の創成館(長崎)の応援のため、一塁側アルプス席で開会式を見た神戸市の藤谷依未子さん(52)は「取り組みはすごく良いと思う。とはいえ暑い。一塁側アルプスは、直射日光が当たる三塁側よりは少しマシだと思う」と額の汗を拭った。これまで10回以上開会式を見てきたという大阪府八尾市の山本勝行さん(77)は「西日の影響で午前の開会式とは少し雰囲気が違うように感じた。朝開催の方が涼しいような気もするが、これはこれで定着するのかな」と語った。
今大会は、昼間の暑い時間帯の試合を避ける「2部制」が拡大されるほかにも、選手たちへの対策が実施される。五回終了後に設けるクーリングタイムは今回で3回目となる。冷房のきいた部屋で水分を補給したり、体を冷やしたりする。
暑さ対策の一環でユニホームを変更したチームもある。開会式に登場した南北海道代表の北海の選手たちは、全身を白色で統一。帽子、アンダーシャツ、ヘルメットを南北海道大会で着用した紺色から白色に一新した。広島代表の広陵は昨夏から、従来の黒の帽子とアンダーシャツを白に変更している。いずれも、白色にすることで直射日光を反射し、暑さを和らげるのが狙いだ。
このほか、試合中はグラウンドに立ち続ける審判への対策も新たに始める。
帽子をこれまでの黒や紺色から白色に変更するほか、同意を得た審判の体に、体表温度と心拍数、運動量を測定できる計測器を試合中に装着してもらう。
ナイターで実施される試合を除く43試合が対象で、得られたデータや本人の自覚症状を照らし合わせて、体温変化の傾向などを分析するという。分析結果は今後の選手権大会や地方大会での熱中症予防に役立てる。
継続的な取り組みとして、学校応援団が待機する場として各アルプス席の入場門前には、日よけテントやミスト扇風機などを設置。試合中には応援団が休憩できる部屋も設け、冷たい飲み物を用意する。【砂押健太、長岡健太郎、洪玟香】
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