電気料金が高くなる? 政府の原発支援策(1)
「(原発の)後継機設置の判断にあたっては、投資判断を行う上での事業環境整備の状況を総合的に考慮する必要がある。本調査の結果のみをもって後継機設置を判断するものではない」。この文言を一読し、読者はどんなメッセージを感じるだろうか。「事業環境整備」とは、何を意味するのか。
関西電力が美浜原発(福井県美浜町)で新たな原発の建設やリプレース(建て替え)を検討するため、地質調査を再開すると2025年7月22日に発表した。冒頭の文言は関電の発表文だが、関電は新たな原発の建設には慎重で、投資判断には事業環境整備を求めていることがわかる。
原発の建設費は世界的に高騰している。東京電力の原発事故後にできた新規制基準の強化などから、建設費は少なくとも1基1兆円以上かかる。フランス北西部で24年9月に稼働したフラマンビル原発は当初計画から12年遅れ、建設費は132億ユーロ(約2兆2000億円)と、当初の4倍に膨らんだ。
英国でも原発の建設費が想定を超え、負担が重くなっている。大手電力といえども、新たな原発の建設には慎重にならざるを得ない。
関電の森望社長も7月22日の記者会見で「発電事業は投資して運転開始まで時間がかかる。さまざまな環境変化、物価上昇などの変動に対応できる制度の整備を求めたい」と発言している。
建設費が上昇しても支援
冒頭の発表文が意図するメッセージとは、関電が原発を建設するため「さまざまな環境変化、物価上昇などの変動に対応した事業環境整備」を政府に求め、それが実現しなければ「後継機設置は判断できない」というものだろう。
事実、関電の発表や記者会見に呼応する形で、政府は原発の建設費や維持費を電気料金に上乗せして支援する仕組みを拡充しようとしている。この制度改正を議論した政府の審議会を傍聴すると、原発への支援を求める関電ら大手電力…
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