南海トラフ巨大地震の発生可能性が高まっている際に出る「南海トラフ地震臨時情報」について、内閣府は7日、自治体や事業者が取るべき対応をまとめたガイドライン(指針)を改定した。適切な防災対策を前提に、海水浴や祭りといったイベントは「できる限り継続することが望ましい」と追記した。
国が求める対応の3段階のうち2番目の「巨大地震注意」の場合は原則として、鉄道会社には運休や徐行運転といった運行規制を求めず、空港や港湾の利用も制限しない。道路の通行規制も求めないと明記した。ただ、被災リスクや防災体制は場所によって異なるため、最終的な判断は各地域に委ねている。
臨時情報は南海トラフ地震の想定震源域で大規模地震が起きた時に、後発の巨大地震に備えるために出される。防災対応に応じて①巨大地震警戒②巨大地震注意③調査終了――の3段階がある。
改定指針は、イベントはできる限り継続することが望ましいとしたが、より危険度の高い巨大地震警戒が発表された際に事前避難の対象となる地域では、中止や延期を含め、適切な安全対策を講じるよう求めた。
従来の指針では、巨大地震注意の発表時の対応がほとんど明記されていなかった。宮崎県沖の地震を受けてちょうど1年前の8月8日に初めて出された際、イベント開催を巡って混乱が生じた。鉄道会社の中には運休や徐行運転をしたところもあった。このため今回の改定では、社会活動の継続と安全確保の双方に配慮した上で、自治体や事業者などの手順を明確化した。【最上和喜】
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