
冤罪(えんざい)の根源には踏み込まず――。「大川原化工機事件」で警視庁が7日に発表した検証報告書では、肝心な点が未解明のまま残された。捜査に疑問を持ってきた捜査員、ぬれぎぬを着せられた大川原側からは厳しい目が向けられている。
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元警視庁公安部長の桑原振一郎氏「『事実前に謙虚に』の再教育必要」
大阪大の水谷規男教授(刑事訴訟法)「背景の分析なしに再発防止できるか」
2015~17年に警視庁公安部長を務めた桑原振一郎氏
「事実前に謙虚であれ」の再教育必要
私が公安部長時代は課長や係長らを呼んで捜査の検討会を開いていたし、兵庫県警で外事課長だった時は警察庁から助言をもらっていた。それだけに今回の捜査指揮不全の度合いに驚いた。暴走した捜査主任官の係長、実質的な指揮を執らなかった警視庁の捜査幹部、経済安全保障の重要性を説きながら警視庁に指導助言を行わなかった警察庁。この三者が一つでも正常に機能…
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