第107回全国高校野球選手権大会は第5日の9日、西日本短大付(福岡)が1回戦に登場する。プロ野球・日本ハムの新庄剛志監督の母校でもあり、昨夏、今春に続く3季連続出場は福岡勢では70年ぶり。入部希望者が増えて寮に入りきらないほど人気、実力とも高まりつつあり、33年ぶりの夏の頂点へ駆け上がるつもりだ。
招待状もらえるチームに
西村慎太郎監督(53)は圧倒的な強さで福岡大会を制した7月27日、現チームをこう表現した。
「選手には『甲子園から招待状をもらえるようなチームになりなさい』と指導してきたので、そのようなチームになりつつあるかなと思います」
U18(18歳以下)日本代表候補合宿にも選ばれた奥駿仁(はやと)選手(3年)を筆頭に、打線はどこからでも点が取れる力が備わってきた。
奥選手は「困った時でも、なんとか1点を取れるようなチームになってきている」と語る。
投手陣は、右の中野琉碧(るい)投手(3年)、左の原綾汰(りょうた)投手(3年)と好投手がそろい、西村監督は「経験とバランスが積み重なった感じ」と話す。
近くのマンションを借りる部員も
福岡県八女(やめ)市にある同校の野球部員は、ベンチ入り20人中12人が地元・福岡の中学出身。中学時代の実績に関係なく入部後に鍛え上げ、全国で戦えるチームに成長してきた。
1992年の第74回大会で初優勝し、その後は昨年までに4回、夏の甲子園に出場したが、夏の連続出場は今回が初めてだ。
昨夏は3回戦、今春は準々決勝進出と甲子園で試合を重ねる中、学校によると、野球部への入部希望者に加え、野球部を応援する吹奏楽部への入部希望者も増えている。
学校説明会などでは甲子園に関する質問が多く、「西短に入って甲子園へ応援に行きたい」という声も聞かれるという。
今春、野球部には過去最多に近いという1年生36人が入部した。3年生は25人、2年生は16人。
部員が生活する、グラウンドに併設した寮は手狭になり、学校近くのマンションを借りて生活する部員もいるという。
新庄監督「もう目標は…」
西村監督と高校時代の同級生でもある日本ハムの新庄監督は今夏、母校が甲子園出場を決めた直後、自身の交流サイト(SNS)に全国優勝への期待を投稿した。
「もう目標は甲子園出場じゃない 優勝旗を八女に持って帰ること 慎太郎なら必ずやってくれる」
新庄監督はこれまでも野球部に遠征用のバスを贈ったり、昨夏は甲子園に駆けつけたりと、応援してきた。
今大会、ベンチ入りしていない鈴木太智選手(1年)は、「新庄監督のSNSはチェックしている。同じ学校出身ということを知ってうれしく、自分もプロ野球選手を目指しているので、新庄監督の後に続けるようにと思って進学したというのもある」と話す。
福岡県勢は過去4回、夏の甲子園を制したが、92年の西日本短大付を最後に全国制覇はない。
小川耕平主将(3年)は、今春のセンバツ大会で3試合を経験し、そこで学んだことを発揮する時がきたとして、「目標は甲子園に出ることでも勝つことでもなく、日本一をつかむこと。全部員がしっかりと見据えているのが強み」と話している。【林大樹】
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