社会問題となっているカスタマーハラスメント(カスハラ)について学ぶことができるゲームが完成した。監修したのは、カスハラ対策に詳しい関西大の池内裕美教授。カスハラをゲームで体験しながら、理不尽なクレームや過剰な要求にどう対応すべきか自然と知識を身に付けられるといい、池内さんは「パソコンやスマートフォンを使って、短時間で効率的に学ぶことができる。企業の研修などで役立ててもらえたら」と話している。8月中にリリースする予定。
ゲームのタイトルは「九条家からの挑戦状」。ゲームのプレーヤーは百貨店のアパレルショップで働く販売員として、接客に当たる。客の要求に対して複数の選択肢の中から最も適切だと思う対応を選び、クリアを目指していく。
例えば、客から「1年前に買った傘が台風で壊れた。まだ2回くらいしか使っていないのにどういうこと?」と詰め寄られたケース。以下の三つの選択肢が用意されている。
①申し訳ございません。傘に不具合があったかもしれません。
②ご不快な思いをさせて申し訳ございません。
③傘の不具合ではなく、ご使用いただいた状況が原因の場合もあります。
この場合、どれが正解なのか。
池内さんによると、②が最も適切だという。①はクレームの内容を詳しく聞いていない段階で全面的に謝罪すると、相手に主導権をとられてしまう。③は詳細な聞き取りもせずに客の責任にしているのが問題だという。②は客が不快な思いをしていることに対する限定的な謝罪で、客の気持ちを和らげる効果がある。
池内さんは「ちょっとした言い方の違いで客の態度が大きく軟化することもある。基礎的な知識を持っていると安心して冷静に対応できるようになるので、ぜひ活用してほしい」と話した。
企業や団体の初期導入費は3万3000円。利用者1人につき月440円かかる。現在はアパレル販売と電話対応の2種類だが、今後は飲食店や病院などを想定したバージョンも検討している。【戸上文恵】
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