米軍が長崎市に原爆を投下してから80年の節目を迎えた9日、長崎市の平和公園で平和祈念式典が始まった。鈴木史朗市長は平和宣言で、世界各地の紛争の即時停戦を訴え、核戦争に突入する危機感を表明する。また、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞受賞に触れ、代表委員などを務めた山口仙二さん(2013年に82歳で死去)の演説を引用し核兵器廃絶の決意を示す。
この他、全ての国の指導者に人種や国境を超えた「地球市民」として分断を乗り越え、26年開催の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で核兵器廃絶への具体的道筋を示すよう求める。日本政府には、憲法の平和理念と非核三原則の堅持を訴え、核兵器禁止条約への署名・批准、核抑止に頼らない安全保障政策に向けたリーダーシップを要請する。
市は日本に公館のある全157カ国・地域に式典の招待状を送るなどしており、95カ国・地域と欧州連合の参列を見込む(6日現在)。
式典では、被爆者代表で西岡洋さん(93)=横浜市=が平和への誓いを読み上げる。石破茂首相があいさつするほか、国連のグテレス事務総長のあいさつを、中満泉事務次長(軍縮担当上級代表)が代読する。【尾形有菜】
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