長崎原爆の爆心地から約500メートルにある浦上天主堂(長崎市本尾町)では9日早朝、追悼ミサがあり、信徒ら約200人が祈りをささげた。
約5年ぶりに参列した鶴崎シヅカさん(89)=長崎市=は、爆心地から約2キロの長崎市本原地区で被爆。一緒に遊んでいた親戚の子供2人を失い、自身も右上半身にやけどを負った。「被爆した時は放心状態で悲しいなどという気持ちは湧かなかった。戦後80年たっても世界では紛争が絶えず、パレスチナ自治区ガザ地区の子供の惨状を思うと言葉にならない。一日も早く、世界に平和が訪れるように祈った」と話した。
被爆2世の藤田千歳(ちとせ)さん(78)=長崎市=は「『千歳』という名前は、原爆で幼い子供4人を亡くした父が、次に生まれてくる子には長生きしてほしいと願って付けた。亡くなった命は、もうよみがえらない。死者に永遠の安息があるようにと祈った」と話した。
中野健一郎・助任司祭は「戦争経験者が少なくなったからこそ、歴史的事実と向き合い、次世代に伝える必要がある。力ではない、愛に基づく平和を、身近なところから実現していこう」と話した。【添谷尚希】
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