高校野球・夏の甲子園1回戦(9日)
○聖隷クリストファー(静岡)5―1明秀日立(茨城)●
初の甲子園で聖隷クリストファーの2年生左腕・高部陸が輝いた。持ち味のテンポの良さと、140キロ台の直球にカーブで緩急を付けた投球で、被安打4、1失点で完投。チームの初勝利に貢献した。
序盤は浮足立って失点したが、尻上がりに調子を上げた。見せ場は勝ち越しのリードをもらった六回。2死から明秀日立の「5番・投手」中岡誠志郎を迎え、1ボール2ストライクからの4球目、高めの直球で空を切らせた。相手の投打の軸から奪った三振は好調の証しだ。
憧れの舞台で一球投げるごとに胸が高鳴り、「楽しみながら投げられた」。九回2死一、三塁のピンチで最後の打者を中飛に打ち取ると、トレードマークの笑顔を振りまいた。
高部は甲子園への思いが強い。上村敏正監督からの誘いにも心を打たれ、「甲子園に初出場するチームに行きたかった」と入学を決めた。
チームは2017年に上村監督が就任後、着実に力を付けてきた。新型コロナウイルスの影響で夏の甲子園大会が中止となった20年は県の独自大会で優勝。21年の秋季東海大会では準優勝したが翌春の選抜は届かず、24年の夏の静岡大会は準優勝だった。
先輩たちの思いも背負った選手たちは今夏の静岡大会では全6試合を1失点以内で勝ち上がり、待望の甲子園でもエースを中心にチーム一丸となって初勝利。上村監督は「よく頑張ってくれた」とねぎらいの言葉をかけた。【高橋広之】
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