高校野球・夏の甲子園1回戦(9日)
○佐賀北5―4青藍泰斗(栃木)●
バットを寝かせ、投前にゴロを転がした。佐賀北の2番・山下泰槻は必死に腕を振って一塁へ駆ける中、スタンドのどよめきでサヨナラ勝ちを確信した。
4―4で延長タイブレークに突入。十回表を無失点でしのいだ裏の攻撃は、犠打と申告敬遠で1死満塁に。
「おまえがスクイズを決めろ」。打席に入る前に仲間から伝えられ、腹を決めた。
1ボールからの2球目をバットに当てた。高く弾んだボールを捕手が前に出て取りに行くと、空っぽの本塁に三塁走者が勢いよく頭から滑り込んだ。
甲子園での勝利は、頂点に輝いた18年前の第89回大会以来。その2007年に生まれた3年生がチームの中心だ。
引き分け再試合を含む2度の延長戦、決勝での逆転満塁本塁打といった名勝負を繰り広げた映像を、チームで何度も見て、気持ちを高めてきた。
突出した選手がいない中、束になって相手に挑むスタイルはまさに先輩譲り。
主将の宮崎淳多は言う。
「派手さはないが泥臭くと、スタイルは似ている」
がばい旋風再来なるか。【村上正】
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