
一人のバレーボール指導者が、新たな挑戦をスタートさせた。
駿台学園高(東京)の男子監督として高校バレー界のトップを走り続けた梅川大介さん(43)が4月、SVリーグ・大阪ブルテオンのジュニアチームを統括する「アカデミーダイレクター」に就任した。
SVリーグがジュニア世代の強化を打ち出すなかでの転身。そこには、子どもたちの育成のあり方に一石を投じたいとの思いがある。【深野麟之介】
教員ゆえの「歯がゆさ」
「うちのアンダーカテゴリーを組織し直すから、手伝ってもらえないか」
2024年秋、梅川さんの元に大阪Bの幹部からオファーが届いた。
U12(12歳以下)、U15チームを持つ大阪Bは、将来的なU18部門の立ち上げに向けた下部組織の再編に取り組んでいた。そこで白羽の矢が立ったのが梅川さんだった。
梅川さんは、現SVリーグ女子のNEC川崎でアナリストを経験し、13年に駿台学園高の男子監督となった。細かいデータを活用しつつ、最先端のトレンドに沿った戦術を取り入れてきた。
選手の判断力を高めつつ、16年度に全国高校総体(インターハイ)、国民体育大会(国体、現国民スポーツ大会)、全日本高校選手権(春高バレー)の「高校3冠」を果たすなど、チームを高校屈指の強豪に引き上げた。
ただ「そろそろ新しい環境に行くのも良いのでは」と考え始めていた。
「10年以上も同じところでやっていると、ぬるま湯につかっているような感覚になります。(高校の監督として)やり残したことはないかなと」
24年11月に次女が生まれ、長女は25年4月から小学生。「家庭を考えても、環境を変えるタイミングとしてちょうど良かった」
25年1月、春高バレー3連覇と16年度以来の高校3冠を成し遂げ、大阪Bのアカデミーダイレクターを引き受けると決めた。
決断の裏には…
Comments