
「トランプ関税」を巡る米国と欧州連合(EU)の交渉が27日、合意に達した。日本に続く「ディール(取引)」成立で、貿易戦争が激化する懸念はひとまず遠のいたが、半導体や医薬品への関税など火種も依然残っている。
潮目変えたのは日米合意? 加速懸念も
「米国に対して不公正だ」。トランプ大統領は、この日報道陣に公開したフォンデアライエン欧州委員長(EUの行政執行機関トップ)との会談冒頭でEUを痛烈に批判した。
米国の2024年の対EUのモノの貿易収支は、輸出3702億ドル(約55兆円)に対し輸入6058億ドル(約90兆円)で、差し引き2356億ドル(約35兆円)の赤字だった。自動車大国ドイツなどが含まれている影響で、EUに対する貿易赤字は中国に次ぎ2番目に大きい。
トランプ政権は4月以降、EUとの協議を重ねてきたが、日本同様に難航していた。トランプ氏は7月12日、EUに「相互関税」上乗せ分の停止期限である8月1日以降、計30%の高関税を課すと書簡で「脅迫」すると、EUも報復関税措置を調整。このまま合意できずに双方が関税を掛け合う「米欧貿易戦争」に発展すれば、世界経済全体への打撃は避けられなかった。
米欧の交渉を大きく後押ししたとみられるのが、22日に発表された日米合意だ。米国が自動車を含む関税率を15%に引き下げる代わりに、日本側が5500億ドルの対米投資支援を約束する内容で、欧州もこれを上回る規模の投資…
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