ナニワの名物経営者は、明らかに怒っていた。
「正直に批判を恐れずにお話しすれば、いまの世の中はとてもじゃないが、話にならん。根性がなっとらん」。お好み焼きチェーン「千房(ちぼー)」会長の中井政嗣さん(79)。大阪市浪速区の本社オフィスを訪ねると、現代ニッポン批判が引きも切らない。
たとえば、今年7月に日本で大災害が起こるという「予言」。漫画家、たつき諒氏の作品「私が見た未来 完全版」(飛鳥新社)が発端となり、大いに騒がれた。気象庁は「一般に、日時と場所を特定した地震を予知する情報はデマと考えられます」との立場を取っていた。
中井さんが初対面の私を前に憤ったのは、まさにその7月だった。「それなりの人がそれなりのようにしゃべる。終わってみれば何もなくて『良かった』ではない。言いっぱなしで、(誰も)言葉の責任を取れない。言うたもん勝ちのような時代になってきている」
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