所有車の半数が水没した事業者も 熊本のタクシー業界、被害深刻

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ライト近くまで水没したタクシー。エンジンを停止していたにもかかわらず電気系統の異常でライトが点灯している=2025年8月11日午前1時50分ごろ撮影。大衆タクシー提供 拡大
ライト近くまで水没したタクシー。エンジンを停止していたにもかかわらず電気系統の異常でライトが点灯している=2025年8月11日午前1時50分ごろ撮影。大衆タクシー提供

 熊本県など九州地方を襲った記録的な大雨は、夏の観光・帰省シーズンと重なった。書き入れ時のはずだったタクシー業界では、営業車が次々に浸水被害に遭い、所有車の半数近くが水没した事業者も出ている。

 熊本市や熊本県益城町、菊陽町などのタクシー事業者でつくる一般社団法人「熊本市タクシー協会」(熊本市東区)が加盟55事業者の被害調査をしたところ、12日午後3時までに回答した49事業者のうち、21事業者で車両が水没するなどの被害が出た。被害車両は計約60台に上り、今後も増える可能性がある。協会の担当者は「後片付けに追われ被害回答できていない事業者もある。引き続き被害状況を把握したい」としている。

水没したタクシーなど。水が引いたあとは下流側に傾いていた=熊本市西区で2025年8月12日午後3時59分、野呂賢治撮影 拡大
水没したタクシーなど。水が引いたあとは下流側に傾いていた=熊本市西区で2025年8月12日午後3時59分、野呂賢治撮影

 熊本市西区の「TaKuRoo(タクルー)」熊本営業所では、タクシー2台が、客を送り届け営業所へ戻る道で水没し、走行できなくなった。1台は10日未明、熊本市中央区壺川の市立壺川小近くを、もう1台は11日午前10時前に同市南区の熊本浜線バイパス近くで走行していた。

半数近くのタクシーが水没してしまった大衆タクシーの敷地。写真奥側から水が入ってきたという=熊本市西区で2025年8月12日午後3時59分、野呂賢治撮影 拡大
半数近くのタクシーが水没してしまった大衆タクシーの敷地。写真奥側から水が入ってきたという=熊本市西区で2025年8月12日午後3時59分、野呂賢治撮影

 ともに腰ほどの高さまで水没したが運転手にケガはなかった。営業所へレッカー移動し走行が可能かどうか点検をする。営業所の担当者は「この時期は帰省客や観光客に加え、暑さからタクシーを使用していただく方も多い。災害の影響で人出が減らないか心配な部分もある」と話した。

 熊本市西区松尾の坪井川沿いにある「大衆タクシー」では会社敷地内に止めていた14台のタクシーと運転手らの自家用車数台が水没した。松尾地区は一帯が水につかり、床上浸水被害も出ている。

 大衆タクシーの藤本剛社長(46)によると、11日午前1時半ごろ、会社敷地裏手の方から水が流れ込み、あっという間に止めていたタクシーなどが水に飲み込まれ、事務所にも水が流れ込んだ。土地が低いためか、雨がやんだあとの11日夕方まで水深10センチほどの水が残った。

 藤本社長は「勤務歴の長い社員によると、ここが水につかるのは40数年ぶりということ。所有するタクシーの半数が水没してしまい、大変な状況だ」と声を落とす。「事務所の機械なども水にやられてしまった。残りのタクシーでなんとか営業を続けていき、お客様の要望には応えたい」と話した。【野呂賢治】

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