防衛省は13日、インド太平洋地域に展開中の英空母「プリンス・オブ・ウェールズ」に対し、自衛隊が他国軍の艦船や航空機を守る「武器等防護」を実施したと発表した。安全保障関連法に基づく対応で、英国軍への適用は初めて。
防衛省によると、日米英など6カ国が4~12日に西太平洋で共同訓練を行い、その際、海上自衛隊の護衛艦「かが」と「てるづき」がウェールズの防護を実施した。実施日時や場所、訓練の内容などは「運用に関わる」として明らかにしていない。
ただし「空母の難敵は潜水艦」(自衛隊関係者)とされることから、防護は対潜水艦戦訓練で実施した可能性がある。一方、共同訓練には米軍と豪州軍も参加していたが、防衛省は防護について「両国からの要請の有無も含めて明らかにできない」としている。
武器等防護は「わが国の防衛に資する活動」をしている他国軍から要請を受け、防衛相が必要と認めれば命令でき、自衛隊には必要最小限の武器使用が認められている。2016年の安保関連法施行に伴い自衛隊の新たな任務となり、これまで米豪の2カ国に適用されていた。
防衛省は年1回、実施件数と概要を公表。24年は、弾道ミサイルなどの警戒監視に当たる艦艇の防護を4件、自衛隊との共同訓練に参加した航空機と艦艇の防護を計9件実施し、いずれも対象は米軍だった。【松浦吉剛】
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