米ホワイトハウスのレビット報道官は12日の記者会見で、米アラスカ州で15日に予定されている米露首脳会談に関し、トランプ米大統領がプーチン露大統領から「聞き取り」をすることが会談の趣旨だと説明した。その上で、ロシアの侵攻を受けるウクライナが参加しないことから、今回の会談での停戦合意にも否定的な考えを示した。米欧とウクライナは13日、首脳級のオンライン会合を開き、米露会談を前に対応を協議する。
レビット氏は、会談がアラスカ州の最大都市アンカレジで開催されると明らかにした。「一方の当事者のみが参加する」と述べて、ウクライナは参加しないと説明。停戦にはロシアとウクライナの双方が合意する必要があると強調した。
また「トランプ氏がこの戦争を終わらせるための方法をより深く理解することが会談の目的だ」とし、対面で話し合うことが「最良の指針になる」と語った。
トランプ氏は13日、プーチン氏との会談を前に、欧州主要国の首脳やウクライナのゼレンスキー大統領とのオンライン会合に参加する。会合はドイツのメルツ首相が主催し、米国からはバンス副大統領も参加する。ロイター通信によると、メルツ氏とゼレンスキー氏が会合後に声明を出す予定だという。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、ロシア側は停戦と引き換えに、ウクライナ東部ドンバス地域(ルハンスク、ドネツク両州)からウクライナが軍を撤退させることを要求している。
ロイターによると、ゼレンスキー氏は12日、ドンバス地域からの撤退を提案されても拒否すると表明。領土を巡る問題は、ロシアが停戦に合意した後に協議すべきだと主張した。13日の会合では欧州側と共に、米露首脳会談でロシア寄りの交渉を進めないようトランプ氏に念押しする構えだ。
一方、ロイターなどは12日、ロシア軍がドネツク州の要衝ポクロウシク近郊で攻勢を始めたと報じた。ロシアが米露首脳会談で停戦交渉を有利に進めるため、戦闘での優勢をアピールしている可能性がある。
今回の首脳会談を巡って、米側は当初、ゼレンスキー氏も交えた「3者会談」を模索したが、ロシア側は否定的で、米露による首脳会談を先行させる方針だ。
トランプ氏は、会談でプーチン氏の主張を聞き取った上で、合意が可能かを判断するとしている。会談直後に「ゼレンスキー氏や欧州(主要国の首脳ら)に電話する」とし、将来的な3者会談の開催にも意欲を示す。
ただ、トランプ氏はロシアとウクライナの「(支配)領域の交換」による停戦を模索する姿勢を示すが、ウクライナは領土の割譲を拒否している。ウクライナの合意なしでは停戦は実現できず、先行きは不透明だ。【ワシントン松井聡、ロンドン福永方人】
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