大阪・関西万博のアンゴラパビリオン建設工事を無許可で請け負ったとして、大阪府警は13日、工事を受注した建設会社「一六八(いろは)建設」の関係先を建設業法違反(無許可営業)の疑いで家宅捜索した。
大阪・関西万博のパビリオン工事を巡っては、アンゴラ館以外にも費用の未払いや業者の無許可参入を指摘する声が相次いでいる。
マルタ館の工事に関わった建設会社は6月、元請けの外資系イベント会社(東京都)に対し、工事費など約1億2000万円の支払いを求めて東京地裁に提訴した。このイベント会社からセルビアとドイツ館の工事を受注した別の業者も未払いを主張している。
イベント会社側は「事実に反する」などと反論している。
さらに、中国やアメリカ館などでも下請け業者が未払いを訴えている。
未払いを主張する業者らは被害者の会を設立。会によると、これまで8カ国のパビリオン工事に関わった30以上の業者から相談があり、未払い総額は約8億円に上るとみられる。
大阪府には建設業法の許可を得ずに工事に参加したとされる業者の情報が複数寄せられており、府が事実関係を調べている。
公共事業に詳しい筑波大の楠茂樹教授(経済法)は「万博は工期が短く時間的な制約があった。契約内容や工事の方法を十分に詰められないまま作業が進んだ結果、業者間の認識に違いが生まれ、トラブルが起きているのでは」と語る。
関係者によると、元請けの海外企業が下請けの日本の業者に対し、工事の遅延や施工不良などの契約違反を訴える例もあるという。
楠教授によると、欧米の企業はトラブルを避けるため、契約内容の細部まで合意してから仕事を始めるのが一般的だ。日本企業は信頼関係に基づいて仕事を進めることがあり、この商習慣の違いも一因になった可能性がある。
楠教授は「外国政府や企業が発注者や元請けだった場合、日本での商取引の慣行などを理解していなかったことも考えられる」と話した。【高良駿輔、井手千夏、松原隼斗】
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