三浦小次郎義也 旗本奴の意地 華やかに=小玉祥子

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 江戸時代前期、人目を引く異装で町を闊歩(かっぽ)する男たちがいた。「男達(おとこだて)(伊達)」や「かぶき(傾き)者」などと呼ばれた彼らの中で幕臣の旗本を中心としたのが旗本奴(やっこ)、町人を中心としたのが町奴である。仁義や体面を重んじる両者は町中で角突き合わせることもしばしばあったようだ。

 中でも有名なのが町奴の頭領・幡随院長兵衛と、彼を明暦3(1657)年に殺害した旗本奴の頭領・水野十郎左衛門だろう。彼らの争いは河竹黙阿弥作「極付幡随長兵衛」や岡本綺堂作「番町皿屋敷」など歌舞伎の題材にも取り上げられている。

 歌舞伎座の「八月納涼歌舞伎」1部で26日まで上演中の「男達ばやり」(池田大伍作)では坂東巳之助演じる町奴の朝日奈三郎兵衛と中村隼人演じる旗本奴の三浦小次郎義也の上野・不忍池に身投げしようとした老人をめぐる、はたから見るとなんとも滑稽(こっけい)な意地の張り合いが描かれる。

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