海外で亡くなった身元不明の戦没者らの遺骨を納める千鳥ケ淵戦没者墓苑(東京都千代田区)には15日朝から多くの人が訪れ、静かに平和を祈った。
参拝者は献花台に菊の花を手向け、戦没者の冥福を祈って手を合わせた。仙台市の佐藤克江さん(83)は、母方のおじ3人が戦死している。実家に届いた遺骨箱には何も入っていなかったという。自身も3歳で仙台空襲に遭い、母に連れられ火の粉の舞う中を逃げた。「私たちが戦争を知る最後の世代になってしまった。『皆さん、ご苦労さまでした』という思いで手を合わせました」と話した。
一緒に参拝した長男の克美さん(56)は「戦争は人をどれだけつらく、大変な思いにさせるか。今の政治家は言葉が軽い。歴史を真摯(しんし)に受け止めてほしい」と求めた。
神奈川県から来た女性(76)は、23歳で出征した父方の叔父がシベリアに抑留され亡くなった。シベリアで埋葬され、後に千鳥ケ淵戦没者墓苑に納骨されたと聞いた。「もう父も亡くなり、私が元気でいるうちは毎年ここに来て冥福を祈りたいと思っています」と手を合わせた。【小林多美子】
Comments