米ブルームバーグ通信は14日、トランプ米政権が、経営不振の半導体大手インテルの株式を取得する方向で同社と協議していると報じた。トランプ政権が国家安全保障上の重要物資に位置づける半導体の国内生産を拡大する狙いがあるという。出資比率などは未定。
報道によると、政府出資により、インテルが中西部オハイオ州で予定している半導体工場の拡張計画を支援する。経営不振が続くインテルは7月下旬、この計画を遅らせると発表していた。
連邦政府による異例の公的支援への期待から、14日のニューヨーク株式市場でインテルの株価は急騰し、前日比で7%超上昇した。
インテルは4~6月期まで6四半期連続で最終(当期)赤字を記録。昨年12月にパット・ゲルシンガー前最高経営責任者(CEO)が引責辞任し、今年3月に就任したリップブー・タン新CEOの下でも業績回復の道筋を示せずにいる。
トランプ大統領は7日、タン氏について「即刻辞任すべきだ」と自らのソーシャルメディアに投稿。だが、11日にホワイトハウスでラトニック商務長官らを交えてタン氏と面談した後に「とても興味深い会談だった。来週中に何か提案があるだろう」と投稿していた。
米国では人工知能(AI)ブームを追い風に、エヌビディアなどが先端半導体の設計・開発で業績を急拡大している。だが、半導体の受託生産では台湾積体電路製造(TSMC)やサムスン電子などのアジア勢がリードし、米企業のインテルは苦戦を強いられている。
トランプ政権は半導体の国内生産の拡大を目指しており、経営不振に陥りつつも受託生産を強化する方針のインテルへの支援を検討しているとみられる。【ワシントン大久保渉】
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