米露首脳会談に渦巻く思惑 「下準備」強調もウクライナや欧州は警戒

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米国のトランプ大統領(右)とロシアのプーチン大統領=スプートニク通信・ロイター 拡大
米国のトランプ大統領(右)とロシアのプーチン大統領=スプートニク通信・ロイター

 トランプ米大統領は日本時間16日(現地時間15日)、米アラスカ州の米軍基地でロシアのプーチン大統領との会談に臨む。ロシアが侵攻を続けるウクライナでの停戦などについて協議する。トランプ氏は露側の出方を見極める場と位置づける。一方、プーチン氏には米露関係改善を図る狙いがあるとみられる。

 領土割譲などウクライナの意に沿わない停戦条件が協議されるおそれもあり、ウクライナや欧州は警戒を強めている。

 米露首脳の対面での会談は、バイデン前米政権下での2021年6月以来で、22年2月のウクライナ侵攻開始後では初だ。トランプ氏はトップ会談による局面打開を目指すが、3年半近く戦うウクライナとロシアの主張の隔たりは大きく、目立つ成果のないまま会談が終わる可能性もある。

 トランプ氏は14日、FOXニュースのラジオ番組に出演し、「成功しない可能性も25%ある」と述べ、会談が不調に終わった場合に備えて予防線を張った。

 今回の会談はウクライナのゼレンスキー大統領や欧州の首脳らを交えた2回目の会談のための「下準備」との考えも強調した。2回目の会談の候補地は3カ所あり、プーチン氏との会談後そのままアラスカにとどまって開催する可能性も検討しているという。

 一方、プーチン氏は、「ロシア領に併合した」と主張するウクライナの一部領土の割譲を公的に承認するよう要求する構えだ。

 米メディアによると、露側は停戦と引き換えに、占領を進める東部ドンバス地方(ルハンスク、ドネツク両州)からのウクライナ軍の撤退を求める。露軍は首脳会談を前にこの地方で攻勢を拡大しており、交渉を優位に進めるテコにしようと考えているとみられる。

 また、露側は、会談での議題を経済協力や国際的な課題にも広げ、米露関係の改善につなげたい考えだ。米国の対露制裁緩和や、対ウクライナ支援の縮小などを狙っているとみられる。

 これに対し、ゼレンスキー氏は領土割譲を一貫して拒否している。欧州側もトランプ氏に対し、領土を巡る協議の前に停戦を優先させるよう要請した。ウクライナ抜きで露側と領土割譲などの交渉を行わないよう念押ししている。

 米露首脳会談は、アラスカの最大都市アンカレジにある米軍施設のエルメンドルフ・リチャードソン統合基地で開かれる。会談後には記者会見がある予定だ。露側は両首脳の共同会見になるとしたが、トランプ氏はラジオ番組で共同で開くかは会談の結果次第だと説明している。【アンカレジ松井聡、ワシントン西田進一郎】

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