無安打→ヒーローに 前日誕生日の明豊・辻田「最高の夏」 夏の甲子園

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【明豊-佐賀北】五回表明豊1死満塁、辻田が3点二塁打を放つ=阪神甲子園球場で2025年8月15日、長澤凜太郎撮影 拡大
【明豊-佐賀北】五回表明豊1死満塁、辻田が3点二塁打を放つ=阪神甲子園球場で2025年8月15日、長澤凜太郎撮影

高校野球・夏の甲子園2回戦(15日)

○明豊(大分)6―1佐賀北●

 待望の「H」ランプを聖地でともしたヒーローが、派手に何度も拳を突き上げた。明豊の辻田拓未が均衡を破る3点適時二塁打を放ったのは、五回だった。

 捕手らしい読みが光った。

 1死満塁で打席に入り、佐賀北の先発・稲富理人に対して「外角への制球が良く、そこを中心に攻めてくるはず。しっかり踏み込んで打とう」。カウント1―1からの3球目。外角低めの136キロを力強く振り抜くと、鋭い打球が中堅手の頭上を越えた。

 塁上で感情が高ぶったのには理由がある。

 1回戦の市船橋(千葉)戦はチーム全体で12安打を放ったが、先発9人のうち辻田だけが無安打だった。

 試合後、チームメートからは「『やばいわ』『大丈夫か』と冗談交じりに声をかけられた」と辻田は笑う。

 捕手として複数投手をリードする守りの要ということもあり、辻田自身は「打撃にばかり気持ちがいくのはだめ。打てなくても、相手に1点も与えなければ負けない」と冷静だった。

 ただ、本心は「早く打って楽になりたかった」。

 大分大会では1年生捕手に先発マスクを譲る機会が多く「屈辱的。野球を嫌いになりかけた」と振り返る。それでも「自分がくじけたらチームがマイナス方向に行く。できることをやる」と自らを奮い立たせた。

 2回戦前日の14日は18歳の誕生日。逆境に真っすぐ向き合った辻田に待っていたプレゼントは、仲間からのプロテインと1日遅れの聖地でのお立ち台だった。

 「人生で一番いい誕生日になった。最高の夏です」

 辻田と明豊のアツい夏は、まだまだ続く。【角田直哉】

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