「立件ライン」3000万円から低下、今後の捜査に影響か 裏金事件

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裏金事件を巡って立件された主な政治家や会計責任者 拡大
裏金事件を巡って立件された主な政治家や会計責任者

 自民党の派閥を巡るパーティー券裏金事件で、東京地検特捜部は15日、検察審査会の「民意」に押される形で自ら出した不起訴(起訴猶予)の見直しを迫られた。略式起訴した萩生田光一元政調会長の牛久保敏文元秘書(46)=辞職届が受理=の不記載額は、従来の「立件ライン」とされる3000万円より1000万円以上低い。今後の政治資金規正法違反事件の捜査に影響を与えるのか。

 「起訴・不起訴の判断は3000万を超えているかを機械的に捉えているわけではない。今回は議決を踏まえて捜査を尽くした」。元秘書の略式起訴について、特捜部幹部は2025年6月の東京第5検察審査会の影響をこう認めた。

 派閥裏金事件の自民党の調査では、80人以上の議員の収支報告書に不記載や誤記載があったとされたが、特捜部は3000万円を目安に線引きし、24年1月に3派閥の元会計責任者や国会議員3人ら計10人に絞って起訴(在宅や略式含む)した。当初から不起訴となった議員らには検察審から厳しい議決が出るとの予測はあったが、萩生田氏の元秘書で初めて現実となった。

 検察が再捜査して再び不起訴としても、検察審が2度目の起訴すべきだとの議決を出せば元秘書は強制起訴される。そもそも元秘書の起訴猶予は罪の成立は認められるものの、検察が裁量で立件しなかった事件だ。罪が成立しない容疑不十分とは異なる。特捜部は強制起訴となって検察官役の指定弁護士に事件を預けるより、自らの手で刑事処分する道を選択した形だ。

 一方、この選択は従来の検察の基準から外れるものだ。「立件ライン」とされる3000万円は、20年の「桜を見る会」を巡る政治資金規正法違反事件で、安倍晋三元首相の元秘書を略式起訴した不記載額約3000万円が参考にされてきた。

 今回は検察審の起訴相当議決という「一要素」が加わったもので、今後の検察の処分判断が縛られるものではないとの見方もある。一方で、ある検察幹部は「2000万円未満で略式起訴した実例が生まれた以上、今度不起訴にしたならどこが違うのかという話になってくる。今後の判断にも事実上影響してくることになるだろう」と話した。【北村秀徳、岩本桜】

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