
「プラスチック汚染を終わらせる」。3年半前、国際社会が決議したはずの約束は、またしても先送りされた。スイス・ジュネーブで開かれたプラ汚染根絶に向けた条約策定のための政府間交渉委員会は15日、今会合での条文案合意を断念した。対立する国々の主張は平行線をたどり、行き詰まりを打開する手立ては見つからない。今回の先送りをどう見ているか、2人の識者に聞いた。
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・磯辺篤彦・九州大応用力学研究所教授(海洋物理)
・キリンホールディングスCSV戦略部 門脇寛主幹
磯辺篤彦・九州大応用力学研究所教授(海洋物理)
対応後手に回れば後世に禍根
プラごみ問題の解決にはさまざまなイノベーションが必要だ。具体的な目標を掲げることがその動きを後押しするだけに、今回の交渉には失望を覚える。
国際社会の動きが鈍い背景には、プラごみ汚染を巡る研究の歴史がまだ十数年と浅く、科学的知見が不足し…
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