米露会談、和平への道筋示されず トランプ氏「ゼレンスキー氏次第」

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米露首脳会談を終え、共同記者会見で握手するトランプ米大統領(右)とロシアのプーチン大統領=米アラスカ州アンカレジで2025年8月15日、ロイター 拡大
米露首脳会談を終え、共同記者会見で握手するトランプ米大統領(右)とロシアのプーチン大統領=米アラスカ州アンカレジで2025年8月15日、ロイター

 米国のトランプ大統領とロシアのプーチン大統領は15日(日本時間16日早朝)、米アラスカ州の最大都市アンカレジで会談した。ロシアによるウクライナ侵攻での停戦を巡り、トランプ氏は会談後の共同記者会見で「進展があった」と強調したが、いくつかの重要な点で合意には至らなかったと明かした。和平に向けた具体的な道筋は示されなかった。

 トランプ氏は会談後、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話協議し、会談の内容を報告した。ゼレンスキー氏はX(ツイッター)で、米国からの招待で18日に首都ワシントンを訪問し、トランプ氏と会談すると発表。停戦に向けては、米露とウクライナの3首脳による協議が必要との認識を強調した。

 米露首脳会談は米軍のエルメンドルフ・リチャードソン統合基地で、2時間半を超えて実施された。当初は、通訳を介した2人だけの会談が予定されていたが、「3人対3人」の形式に変更された。米側からはルビオ国務長官とウィットコフ中東担当特使が、ロシア側はラブロフ外相とウシャコフ大統領補佐官が出席した。その後に予定されていた他の参加者も交えた拡大会合や昼食会は見送られた模様だ。

 トランプ氏は会見で「(会談は)非常に生産的なものだった。多くの点で合意した」と評価した。ただし、「いくつかの大きな課題で合意できていない。合意するまでは合意ではない」と述べた。

 プーチン氏も会見の冒頭で「建設的かつ相互に尊重する雰囲気で会談が行われ、非常に有益だった」と振り返った。ただし、ウクライナ情勢に関しては「危機の根本原因がすべて排除されなければならない」と従来の主張を改めて繰り返し、停戦の条件で譲歩しない姿勢を示唆した。

 トランプ氏については「ウクライナ問題の解決に尽力し、その本質を理解しようとしている」と持ち上げ、ウクライナと欧州に対しては「挑発や裏工作によって(和平の)進展を妨げようとしないことを望む」とけん制した。

 また、トランプ氏が「おそらくまたすぐに会うだろう」と語り掛けると、プーチン氏は即座に英語で「次はモスクワで」と提案。トランプ氏は「それは面白い。少し非難されるかもしれないけど可能性はある」と語り、対話の継続にも意欲を示した。

 両首脳は記者からの質問は受け付けず、会見は10分程度で終了。トランプ氏が言及した和平に向けた「進展」や「合意」の詳細も明らかにされなかった。

 一方、トランプ氏は会談後、米FOXニュースのインタビューに応じ、プーチン氏とロシアが支配するウクライナの領土の問題やウクライナの将来的な安全保障について交渉したと明かした。「大筋では合意できている」とも述べた。最終的には「ゼレンスキー氏次第」とし、「ウクライナは合意すべきだ。ロシアは大国だ」と語った。ロシアへの追加制裁については「今は考えなくていい」とし、見送る方針を示した。

 トランプ氏は1月の政権発足当初はロシアに融和的な姿勢を示していた。しかし、ロシアが停戦に応じず、ロシアと取引する第三国に「2次関税」を課す方針を示して圧力路線に転換。2次関税を課す判断期限としていた8日の2日前、プーチン氏とウィットコフ氏が会談し、今回の首脳会談の開催で原則合意した。米側によると、ロシア側が首脳会談を求めたという。

 米露首脳の対面での会談は、バイデン前米政権下での2021年6月にスイス・ジュネーブで実施されて以来。22年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降では初めてとなる。【アンカレジ松井総、モスクワ山衛守剛】

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