九州工業大(北九州市戸畑区)の水泳部員らが自主製作していた学内プールのスタート台の試作品が完成し、16日に同大プールであったOB戦で部員やOBら約40人にお披露目された。公認プールのものと遜色ないものができ、製作メンバーは「コンマ何秒かでも速く泳げるようになれれば」と期待を寄せた。
試作品はOB戦に合わせて前日に完成。長さ75センチ、幅60センチ、高さ75センチのステンレス製。後ろ足で蹴り出せるよう後部にバックプレートも付く。公式戦で使うものと同タイプで、古いスタート台を覆うように設置できる。
開会式では完成したばかりのスタート台が披露され、プロジェクト代表の同大院2年、東藤稜晟さん(23)が早速、飛び込み初めをして完成を祝った。
プロジェクトメンバーも一人ずつあいさつ。「メンバー一丸となって完成させることができた」「(後輩は)これでインカレ日本一いけるくらい練習して」と思いを語った。
プールは1969年の完成。古いスタート台は当時のままで、老朽化が激しく形状も古かった。部員やOBの有志11人が4月から製作に取り組んできた。
費用を抑えるため工学系の知識を生かして自主製作に挑戦し、資金集めにクラウドファンディング(CF)を実施。CFは目標額の76万円を上回り、88人から134万3000円が寄せられた。
試作品は天板の滑り止めの接着方法などで微調整が必要だが、ほぼ完成した状態。CFで目標額を超えたことから、製作台数を予定より1台増やして5台にする。今季は大会も終わっており、今後は来季に向けて残り4台の製作に取り組む。
東藤さんは「CFでの応援があったからこそプロジェクトが成り立った。困難な状況の中で普段接点のない人からの支援は、そっと背中を押してくれるような存在でうれしかった」と感謝を語った。【斎藤毅】
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