○阪神3―0巨人●(16日・東京ドーム)
「長嶋茂雄さん追悼試合」の盛り上がりを、開始早々に容赦なく沈めた。
阪神は一回、先頭の近本光司が四球を選び、中野拓夢がきっちり送る。定型の流れで形を作り、森下翔太が打席に立った。
独特の雰囲気が漂う一戦の第1打席でも、森下は「しっかり準備して入った」と冷静だった。2球続けて直球を見送ってからの4球目。狙ってはいなかったスライダーがやや低めに来たところに、体がうまく反応した。すくうように捉えて左翼席の上段まで飛ばした。
2000年生まれの森下は、ユニホームを着ている長嶋さんを知らない世代だ。「今、自分たちが野球をできているのも、『伝統の一戦』というふうになっているのも、長嶋さんや先人たちのおかげだと思う。特別な日に打てたのはすごく良かった」
長嶋さんは「天覧試合」で本塁打を打つなど勝負強い打撃で、野球ファンならずとも魅了した。その追悼試合で描いたアーチには大きな意味がある。【荻野公一】
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