
高校野球界は「1週間500球以内」とする投球数制限が定着し、複数投手による「分業制」が主流になりつつある。
その中で「先発完投型」として力を発揮しているのが、2年ぶり20回目出場の日大三(西東京)のエース右腕・近藤優樹投手(3年)だ。
短い登板間隔で投球イニングを重ねられる理由は何か。トレーナーが気づいた特質があるという。
投げるスタミナを築いた日課
近藤投手は7月24日にあった西東京大会の準々決勝以降、8月11日の夏の甲子園初戦の2回戦まで、4試合を1人で投げ抜いてきた。
この間、最初の試合こそ六回コールドで83球だったが、それ以降はいずれも100球を超えた。
豊橋中央(愛知)との試合は慣れないマウンドに苦しみ、何度も得点圏に走者を背負いながら、2失点、128球で完投した。
近藤投手自身、このように話したことがある。
「走るスタミナは全然ないのですが、投げるスタミナはあるんです」
身長171センチで投手としては小柄で、体重81キロとがっちりした体形をしている。登板直後に疲労はあるが「肩や肘の違和感は少ない」との感覚も口にする。
父の影響で野球を始め、小学3年生から投手が専門になり、中学時代の投球練習は「6秒に1球で計150球」が日課だったという。地道な練習を土台に、高校でさらに専門的な体作りを学び、タフな投手へと成長した。
投球フォームと股関節
2006年から日大三の選手のパフォーマンス向上やけが予防に向けた取り組みに携わるアスレチックトレーナーの庄司智則さんは…
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