クマ騒動で休業の人気カフェ 旬の桃を救うため「避難」し営業再開

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西形吉和さん(右)の店舗で人気の桃パフェの提供を再開した高橋文則さん=福島市栄町のシェアキッチンPROSで2025年8月14日午後3時56分、錦織祐一撮影 拡大
西形吉和さん(右)の店舗で人気の桃パフェの提供を再開した高橋文則さん=福島市栄町のシェアキッチンPROSで2025年8月14日午後3時56分、錦織祐一撮影

 福島市内でツキノワグマの目撃情報が相次いだ影響で、名産の桃を1杯に2個以上使ったパフェで人気のカフェ「にぎ和伊(わい)カフェむろいし」が臨時休業に追い込まれている。折しも桃が旬を迎えるシーズン。全国から舞い込んでいた予約のキャンセルを余儀なくされていたが、救いの手が差し伸べられて、JR福島駅前の店舗で営業再開にこぎ着けた。

 店は、クマ対策のため8月1日から臨時休園している野外博物館「福島市民家園」(同市上名倉)の園内にある。福島市飯坂町出身の高橋文則さん(53)が、民家園内の飲食店の公募に応じて2022年にオープン。その名の通り和食とイタリアンの創作料理で人気を集めてきた。24年からは市観光コンベンション協会の、桃を地元の飲食店や宿泊施設で味わってもらうキャンペーン「ふくしまピーチホリデイ」に参加している。

 桃は繊細で傷付きやすい上、熟するのが早いため、一斉に迎える収穫の時期に遅れてしまった実は首都圏などの消費地に輸送する間に熟し過ぎる。だが規格外品も食べると非常においしく、同協会がピーチホリデイで活用を支援している。昨年までは桃の収穫期の2カ月半のみ開催していたが、今年からは通年開催し、飲食店などがリンゴやブドウ、イチゴなど旬ごとにオリジナルメニューを展開する。

 高橋さんは地元・飯坂の果樹園から調達した桃を1杯につき2個以上使うパフェを24年に提供したところ、インスタグラムを中心にしたSNS(交流サイト)で人気を集め、最大3時間待ちに。今年は桃の収穫期を迎えて北は北海道から南は愛媛県、遠くは台湾からも予約が舞い込んでいた。

 だが8月1日、民家園内を観光していた男性がクマに襲われて負傷したため同日から閉園となり、店も休業に追い込まれた。園内の見通しを良くするための草刈りなどを行っており閉園は半月に及ぶ。そんな中、コンベンション協会からシェアキッチン「PROS(プロース)」(同市栄町)を紹介された。

 同店は、1850(嘉永3)年創業の商社「西形商店」が自社ビルの2階に8月1日にオープンした。以前は飲食店が入居していたが、新型コロナウイルス禍で閉店していた。福島駅東口近くの好立地にあり、西形吉和社長(47)が「飲食業を始めたいという若い人の夢を後押ししたい」とリノベーションした。

旬の桃をふんだんに使った「まるごと桃パフェ」=福島市栄町のシェアキッチンPROSで2025年8月15日午後0時16分、錦織祐一撮影 拡大
旬の桃をふんだんに使った「まるごと桃パフェ」=福島市栄町のシェアキッチンPROSで2025年8月15日午後0時16分、錦織祐一撮影

 高橋さんの臨時出店の依頼を西形さんは快諾。14~31日の期間限定で、まるごと桃パフェ(1400円)とミニ桃パフェ(1000円)、ドリンクを提供する。前日までに要予約。西形さんは「地域貢献を掲げていますがオープンしたばかりでまだなじみがなく、人気店に使っていただきこちらこそありがたい」。高橋さんは「いったんキャンセルした予約が9割ほど戻り、駅前なので新たなお客様の予約も頂いた」と胸をなで下ろし「果肉の硬い品種を使っており、これからがまさに旬なので間に合って本当に助かりました」。

 予約などの詳細はインスタグラム(@muro_ishi)。【錦織祐一】

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