栃木県真岡市飯貝の大内資料館の展示が、三十数年ぶりにリニューアルされた。21日から4日間、地元で出土した鶏形埴輪(はにわ)のレプリカ(現物は東京国立博物館蔵)や、古代役所跡とみられる堂法田遺跡を中心としたジオラマ(地形模型)などを展示。「大内歴史文化研究会」(大塚茂美会長)が市に働きかけ、共催で実現した。会期終了後は研究会が資料館を活動拠点として運営する。【有田浩子】
大内資料館は真岡市北部、旧大内村の役場庁舎として1929(昭和4)年に建てられた。当時この地域では珍しかった鉄筋コンクリート造りで、市登録有形文化財となっている。
町村合併により54年に公民館、88年には市内遺跡からの出土品などを展示する資料館となり市が維持・管理してきたが、展示の入れ替えはなかった。
大内地区(16地区で構成)のうち京泉地区には、昭和初期に鶏形埴輪などが出土したシトミ原古墳群をはじめ、大内廃寺跡、堂法田遺跡=いずれも県指定史跡=など古代の重要遺跡がある。
京泉地区の区長を務める大塚会長(65)ら有志数人は3年前、大内の遺跡の価値を広く知ってもらい歴史文化を次代に継承しようと活動を始めた。市の自治会支援事業を利用して、今年3月にジオラマを完成させた。遺跡や遺構を巡る歴史教室なども開いている。
研究会のメンバーは40代から70代で、梁木誠・元県考古学会会長(69)や黒﨑淳・元県立しもつけ風土記の丘学芸員(70)らがおり、ジオラマ製作には高校生も参加した。
資料館の活用と併せせ、研究会で展示も手がけたいと申し出たところ、市は「地域の活動拠点になるなら」と協力を約束した。2021年に文化財保護法が改正され、保存だけでなく街づくりなどに活用する方向性が示されたことも追い風になった。
同市高田にある歴史資料保存館(旧二宮町立物部小学校高田分校)は小学生の社会科見学を受け入れている。市は大内資料館についても、学校側の希望があれば同様の使い方を期待し、研究会に資料館の管理を任せることにした。
研究会によると、同地域の遺跡発掘はまだ十分でなく、解明されていない謎が残っているという。大塚会長は「地元の人に知ってもらい、遺跡を守っていくことが目標。宝と思ってもらえば将来に伝わっていくのではないか」と話した。
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