死亡の消防隊員2人、崩落で避難経路失ったか 大阪ミナミのビル火災

Date: Category:速報 Views:3147 Comment:0

火災があった大阪・ミナミの雑居ビル=大阪市中央区で2025年8月19日午前8時52分、松原隼斗撮影 拡大
火災があった大阪・ミナミの雑居ビル=大阪市中央区で2025年8月19日午前8時52分、松原隼斗撮影

 消火活動中の消防隊員2人が死亡した大阪・ミナミの雑居ビル火災で、2人が倒れていた建物の5、6階部分で崩落が起きた可能性があることが大阪市関係者への取材で判明した。この崩落で外部に避難するための経路が失われたとみられ、市消防局は近く設ける検証委員会で2人が亡くなった経緯を詳しく調べる。

 火災では7階建てと5階建ての雑居ビル2棟が燃え、いずれも浪速消防署に勤務する消防司令の森貴志さん(55)と消防士の長友光成さん(22)が死亡した。2人は7階建てのビルの6階で倒れているところを、救助に当たった別の消防隊員に発見された。

 市関係者などによると、森さんらは同僚らと計3人で内部から放水などをするため、ビル1階から上層階に向かった。建物内で活動中に5、6階部分で崩落が起きたことから、屋外に退避しようとしていたとみられる。

火災があった雑居ビル。ビル全体が黒く焼けこげている=大阪市中央区で2025年8月19日午前8時49分、松原隼斗撮影 拡大
火災があった雑居ビル。ビル全体が黒く焼けこげている=大阪市中央区で2025年8月19日午前8時49分、松原隼斗撮影

 しかし、この崩落で2人は出口に向かうことができなくなり、煙などに巻き込まれて身動きが取れなくなった可能性があるという。大阪市の横山英幸市長は18日、「崩落を受けて退避していく中で、呼吸の問題で命を落としたというふうに考えられている」と報道陣に説明した。大阪府警が死因を詳しく調べている。

 火災は18日午前10時前に発生。ビル2棟はミナミの中心部・道頓堀に近い大阪市中央区宗(そう)右衛(え)門(もん)町(ちょう)にあり、計約100平方メートルが焼損した。亡くなった2人のほかに、消防隊員4人と女性1人が病院に搬送された。2棟のどちらが火元かは分かっておらず、市消防局と府警が出火の原因を調査している。

 火災は約9時間後の18日夜に消し止められたが、発生から一夜明けた19日も現場のビルに消防隊員が入って確認作業を続けた。ビルの近くには花や飲料水が手向けられていた。

     ◇

 亡くなった長友さんは2023年10月に大阪市消防局に採用された。隊員を育成・教育する大阪府立消防学校で同級生だった男性によると、宮崎県出身で仕事に対する姿勢も真面目だったという。

 男性は「卒業までの半年間、訓練も部屋も一緒だった。宮崎弁がみんなを和ませ、同級生から親しまれていた。亡くなったことが、まだ受け入れられない」と悲痛な面持ちで話した。【大坪菜々美、川地隆史、松原隼斗】

Comments

I want to comment

◎Welcome to participate in the discussion, please express your views and exchange your opinions here.