高校野球・夏の甲子園準々決勝(19日)
○沖縄尚学2―1東洋大姫路(兵庫)●
沖縄尚学の鉄壁の守備陣を率いる主将で遊撃手の真喜志拓斗には、こだわりがある。「腰を落とし、目線を下げる。地をはうように打球に入る」。その信念はチームを勢い付け、初めての4強入りを後押しした。
見せ場はいきなりきた。一回1死一塁から相手打者の二遊間を抜けそうな打球を横っ跳びして好捕。そのまま二塁を踏み、一塁へと送球し併殺を完成させた。
中前に抜ければピンチが広がり、試合の流れも大きく変わった可能性があるビッグプレー。その後も堅実な守備からリズムを作り1点差の接戦を勝ちきった。
チーム全体で夏に向けて守備を強化してきた。きっかけは春の選抜大会。2回戦は3失策が響き、横浜(神奈川)に1点差で競り負けた。
「体格の大きな打者の鋭い打球に対し気持ちから負けていた。本気で向き合い、改善する必要があると覚悟を決めた」と真喜志。日ごろから「生きた球」を取る感覚を養おうと、ノックではなく打者がトス打撃で打った球での守備練習を繰り返した。小さなミスにも仲間同士で厳しく指摘し合い、守りの意識と精度はみるみる向上した。
地道な努力は聖地で花開く。沖縄大会は5試合無失策、甲子園でも準々決勝まで4試合で失策はわずか1。全て3点差以内の接戦を制するほどの勝負強さだ。
チーム初のベスト4、沖縄県勢としても15年ぶりの4強に、真喜志は「歴史の一ページを刻めたことはうれしい」としつつ「ここで満足するチームではない。もっと上を目指せる」と言いきる。自信の根拠には沖縄尚学ナインが時間をかけて向き合った「本気の守備」がある。【角田直哉】
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