高校野球・夏の甲子園準々決勝(19日)
○県岐阜商8―7横浜(神奈川)●
息詰まる大激戦に終止符を打ったのは、県岐阜商の4番・坂口路歩(ろあ)の一振りだった。
春夏連覇を目指す横浜を相手に「勢いは絶対に負けていない」と一歩も引かなかった。序盤のリードを追いつかれて延長戦へ。タイブレークに入った延長十回は3点ずつを取り合い、一進一退の攻防が決着したのは、十一回だった。
横浜の攻撃をゼロに抑えた後、県岐阜商は2死ながら一、三塁とし、坂口に打順が回ってきた。
2球で追い込まれたが「打てる気はしていた。焦らず、どっしりと」。「手を出さない」と決めていた外角低めを見極め、最後はやや浮いた4球目の140キロを逆らわずはじき返した。左翼手の前で打球が弾むサヨナラ適時打に、試合後は晴れ晴れとした様子で「まだ信じられない」と語った。
ここまで悔しさの連続だった。1年生から4番を任されたが、こだわってきた勝負強さを発揮しきれず、過去には4番を外されたこともある。
この試合は六回の一塁守備で、二ゴロの併殺かと思われたプレーで一塁ベースに自分の足が届かずセーフになり、さらに本塁へ突入した二塁走者を刺そうとして、味方がいない本塁へ悪送球するミスをした。九回2死満塁のチャンスでは二ゴロに倒れた。
焦りもあったが、気持ちを切らさずグラウンドに立てたのは、「仲間の声がけで冷静になれた」からだ。
「大丈夫」と「ありがとう」を合言葉に戦ってきた夏は、最大で残り2試合。最高の仲間と、最後まで白球を追い続ける。【川村咲平】
Comments