ローマ字の表記について、文化審議会は20日、従来の「訓令式」から英語の発音に即した「ヘボン式」を基本とするルールに改めるよう、阿部俊子文部科学相に答申した。年内にも内閣告示される見込みで、1954年以来約70年ぶりの改正となる。これまで訓令式でローマ字を教えてきた小学校の国語も、2026年度以降は順次ヘボン式に変更となる見通しだ。
日本語の仮名遣いに対応するアルファベットの小文字と母音を組み合わせた訓令式では、「シ」を「si」、「フ」を「hu」とつづる。一方、道路標識やパスポートの氏名表記では省令に基づき、英語の発音に即した「shi」「fu」などのヘボン式が使われることが多い。人名や地名もヘボン式が一般的だ。訓令式はキーボードのローマ字入力などで活用される以外はほとんど浸透していない。
また、母音を伸ばす長音を表記する際、訓令式は「â」のように母音の上に山形の符号を付けるが、これもヘボン式で「ā」などと表す棒形に統一する。ヘボン式は符号を用いない場合もあるが、例えば「大野」を「Ono」とすると「小野」と判別できないため、「Oono」と母音を並べて表記する方法も示された。
学校教育では、小学3年の国語でローマ字のつづり方を訓令式を基本に教えてきた。一方、20年度に小学校で教科化した英語の授業ではヘボン式を習うため、「児童の混乱を招く」という指摘もあった。
文化庁は22年7月からローマ字表記の議論を本格化させ、24年5月に盛山正仁前文科相が文化審議会に諮問。ローマ字小委員会を設置して検討していた。【西本紗保美】
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