
2019年に開業したJR梅小路京都西駅(京都市下京区)そばの廃止となった高架に20日、列車や停車場を模したレストラン「FUTURE TRAIN」が一部オープンした。鉄道の高架下ではなく高架上に常設される店舗は全国初という。京都駅からも近く、京都鉄道博物館や京都水族館などが目当ての親子連れでにぎわうエリアに新たな若者を呼び込み、地域活性化を目指す。
舞台はJR山陰線と東海道線を結び、かつて貨物列車や臨時列車が走っていた延長約2キロの「梅小路短絡線」(16年廃止)。北寄りの約90メートルを、JR西日本のグループ会社「京都駅ビル開発」などが新設した会社「梅小路ハイライン」が再整備した。全国で飲食店やアミューズメント施設などを展開する東京の「DDグループ」と、その子会社が企画運営する。

短絡線の廃止後、19年から23年まで京都駅ビル開発などが実験的に屋台村を仮設してきたが、京都市の「京都駅西部エリア活性化将来構想」を受け、新しいにぎわいを生み出す常設施設に発展させた。「FUTURE TRAIN」の開業が具体化した25年3月、関係企業や金融機関、市など11者で連携協定を結んだ。
店舗は「5両編成」で、先頭車の1号車は特急サンダーバードなどとして運行された681系車両(クロ681―4)の実物を、白色基調から「紅梅色」に塗り替えて転用。2号車以降も列車を模して内外観をつくりつつ、ピンクやスカイブルーで鮮やかに彩り、「プラットホーム」から乗り込んだ客を驚かせる趣向とした。店舗やロゴ、従業員の制服などのデザインは「原宿Kawaii文化」を発信するアーティスト、増田セバスチャンさんが手がけた。

DDグループの土屋健部長によると、京都駅西部エリアに新たに呼び込みたい客層として、ポップアートやポップカルチャーに明るい国内外の25~35歳を掲げ、人気の増田さんを起用した。
先行開業したのは2号車と3号車で、4号車は厨房になっている。1号車は映像や光、音のアートが体験できる特別な空間とし、9月20日に5号車と共にオープンさせる。同日以降は、飲食の注文に加えて入場料(大人700円、12~4歳300円)が必要。現金は使えない。
連携協定は、高架下の活用なども盛り込んでいるが、梅小路ハイラインの橋本修男社長は「FUTURE TRAINの推移を見てからになる」としている。【南陽子】
Comments