文章や音声を投稿するプラットフォームを運営する「note」(東京)は8月から、サイトの文章を生成AI(人工知能)の事業者に学習用データとして提供し、その収益をクリエーターに対価として還元する事業を始める。これまで、生成AIを手がける事業者とメディアは著作権を巡って対立し、裁判に発展するケースもあったが、提携する動きが国内外で広がっている。
noteは、個人や企業が文章や漫画、動画、音声を自由に投稿して販売できる仕組み。2014年4月の開始以来、コンテンツ数は累計6000万件を超え、登録会員は25年6月に1000万人に達した。
対価還元の対象は文章のみで、AIに提供するかどうかはクリエーターが自由に選べる。2月から会員を対象に実証実験を3回行ったところ、計数千人から「自分の創作活動が正当に評価されていると感じた」「新たな収益の可能性に期待できる」といった好意的な反応があり、多くのクリエーターが提供に賛同すると見込んでいる。
noteの加藤貞顕(さだあき)・最高経営責任者(CEO)は、対価の還元について「生成AIが普及する中で、許諾と対価の関係を整理し、クリエーターが収益を得られるエコシステム(生態系)を作りたかった」と説明している。【斎藤良太】
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