スポーツクラブのプールで、小学1年の男子児童(6)が溺れて亡くなる事故があった。
海や川と比べ安全だと思われがちなプールにも危険は潜む。
事故の詳細な経緯や原因は判明していないが、専門家らは、子どもの特性を考えたうえで、事故が起きないように見守る重要性を強調する。
死角をなくした監視を
事故は28日午前10時半過ぎ、東京都小金井市のスポーツクラブ「メガロス武蔵小金井」で起きた。
小学生約20人が学童保育で水泳の体験に訪れていた。プールに入った数分後、男児が浮かんでいるのが見つかった。意識不明の重体で救急搬送されたが、約11時間半後に死亡が確認された。
水難事故を防ぐにはどうしたらいいのか。日本ライフセービング協会は、気をつけるべきことの一つとして、子どもから目を離さないことを挙げる。
監視する際は、異変に素早く気づけるよう、死角をなくすよう周りの人が協力することが必要だと指摘する。
顔が水の中に入ったままになっている状態や、潜ったまま浮き上がってこない、浮き具の下でジタバタしているときなどは異変が起きていると考え、「10秒で異変に気づき、20秒で適切な救助行動を取る」ことが求められるとする。
不自然な動きには注意を
消費者庁の消費者安全調査委員会は、2019年夏、プールでの幼児らの行動調査を実施。「飛び込み」など、子どもの危険な行動を確認した。
そのうえで、子どもを見守る際のポイントとして、監視役は監視だけに専念する▽監視時は規則的に目線を動かす▽緊急対応時の手順を事前に定める――などと例示した。
また、溺れるときには、助けを求めたり、苦しくて暴れたりするとは限らないという。
「静かに溺れることも多い。動かない、不自然な動きなどに留意すること」と注意喚起する。
最も危険なのは、水に入るとき
一般社団法人「水難学会」の斎藤秀俊理事(長岡技術科学大教授)は、気をつけるべき年代や場所、タイミングがあると指摘する。
年代は身長120センチ未満の小学2年生から幼稚園児、場所は学校以外の不慣れなプール、タイミングは入水直後とする。
プールの水深に比べて背が低い子どもでも、初めて訪れたプールでは気分が高揚して、足が着くかどうかを考えず、すぐに飛び込んでしまうことがあるという。
さらに、水中では光が屈折するため、沈んでいることに外から気づくのは難しいとする。
斎藤理事は「事故が起きるかどうかはほぼ、入水方法で決まる。子どもを単独で行動させず、足が立つ場所で入水させることが重要だ」と周りのサポートが必要だと話す。
子どもと一緒に水に入って
夏休みシーズンに家族でプール遊びをする機会も多い。斎藤理事は「子どもと一緒に着替え、一緒にプールサイドに行き、一緒に入水してほしい」と呼びかける。【高橋昌紀】
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