第107回全国高校野球選手権大会は23日に決勝があり、沖縄尚学が初優勝を果たした。大会史に刻まれる出来事や異例の事態も発生した。
開始も終了も「最遅」更新
暑さ対策のため、開会式を史上初めて夕方から実施し、開幕試合はナイターで開催した。暑い昼間を避け、朝と夕方に分けて開催する2部制は、初導入した前回大会に続いて実施し、一部の4試合日に拡大した。
2部制の4試合日の第4試合は開始予定時間を午後6時45分としていたが、天候や前の試合の進行にも左右される。
第3日(7日)の旭川志峯(北北海道)―広陵(広島)は前の試合が延長タイブレークになり、試合時間が確認できる第35回大会(1953年)以降で、最も遅かった時間より19分遅い午後7時29分に始まった。
第4日(8日)は第3試合で雨天中断があり、綾羽(滋賀)―高知中央はさらに遅い午後7時49分に始まり、終了時刻もこれまで最も遅かった試合より1時間6分遅い午後10時46分となった。
継続試合はなし
試合が最も暑い時間や深夜に及ぶことを避けるため、翌日以降に継続試合とする規定が設けられていたが、春夏の甲子園大会初の継続試合は回避された。
夜間は原則として午後10時を過ぎると新たなイニングに入らず継続試合とするルールだったが、綾羽―高知中央は両校の意向を確認し、10時を過ぎてから延長十回を実施した。
暑さ対策の一環で、原則7分間としていた試合前の守備練習(ノック)を5分間に短縮し、希望すれば試合前ノックを取りやめることも可能だったが、全チームが実施した。
タイブレーク過去最多
大会を通じて接戦が多く、過去最多となる8試合が延長タイブレークにもつれ込んだ。走者を置いた状態で始めるタイブレーク制度は甲子園大会では2018年春のセンバツ大会から導入。当時は延長十三回からだったが、23年春からは十回からに早まった。1大会でのタイブレーク数はこれまで23年夏と24年夏の6試合が最多だった。
低反発バットで初の複数本塁打
大会本塁打数は前回大会から3本増えて10本となった。大会最多本塁打は17年夏の68本だが、高校野球では24年春から反発性能を抑えた新基準の金属バットが本格導入され、本塁打数は激減していた。日大三の田中諒選手(2年)は2本塁打を放ち、新基準で複数本塁打を放った初の選手となった。
大会最速タイ155キロ
健大高崎(群馬)の石垣元気投手(3年)は春夏の甲子園大会を通じて最速に並ぶ155キロを出した。石垣投手は今春のセンバツ大会でも155キロをマークしており、春夏で大会最速を記録した投手となった。
大会中の初の辞退
広陵は部内の暴力事案を巡り、1回戦を突破後に出場を辞退した。春夏の甲子園大会で、不祥事に端を発した問題により大会中に出場を辞退するのは史上初の事態だった。【長宗拓弥】
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