長野県軽井沢町で静養中の上皇ご夫妻は23日、旧満州(現中国東北部)から引き揚げた人たちが戦後に入植した大日向開拓地を散策された。夏の強い日差しと高原の風の中、手をとりあいながらゆっくりとキャベツ畑を歩き、「みんなよく育っているみたいね」とにこやかな表情を見せた。
ご夫妻は皇太子時代から静養の際に大日向開拓地を訪ね、地元の人たちと交流を重ねてきた。側近によると、この日は散策の準備をしながら、開拓地の歴史を思い起こしていたという。
野菜畑の広がる大日向開拓地はかつて、浅間山のふもとに広がる森林だった。国策で満州に渡り、戦後に命からがら引き揚げたものの故郷に戻れなかった人たちが開拓した。
キャベツ畑でご夫妻は生育状況を語らい、遠くの山並みも見つめていた。畑で野菜を育てている女性(37)は「(開拓地を)忘れずに毎年のように来てくださるので、とてもうれしいです」と話した。【山田奈緒】
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