劇作家の福田善之さん死去　93歳　「真田風雲録」旗手

　「真田風雲録」など1960年代演劇の旗手として知られた劇作家・演出家の福田善之（ふくだ・よしゆき、本名・鴻巣泰三＝こうのす・たいぞう）さんが21日、肺炎のため死去した。93歳。葬儀は近親者で営む。お別れの会を後日開く。喪主は長男冬太郎（ふゆたろう）さん。

　東京生まれ。東京大文学部仏文科卒業後、新聞記者、演出助手を経て、劇作家に。劇団青年芸術劇場を米倉斉加年、観世栄夫らと結成。60年安保に反対する新劇人会議でも活動した。戦時下、東京帝大の教授が思想弾圧された事件をモチーフにした「長い墓標の列」や、真田十勇士に学生運動の挫折を託した「真田風雲録」、中世の寒村を舞台に日本社会に警鐘を鳴らした「袴垂（はかまだ）れはどこだ」など、社会に鋭く切り込む作品が高く評価され、一時代を築いた。商業演劇、ミュージカルでも幅広く活躍。NHK大河ドラマ「風と雲と虹と」などテレビドラマや映画のシナリオも執筆した。

　93年紀伊国屋演劇賞個人賞、2001年紫綬褒章。日本劇作家協会顧問、日本演出者協会評議員。