
微生物を操り人類を救え――。水インフラ事業などを手がける重電メーカー「明電舎」(東京都品川区)が、下水処理を楽しく学べるゲームアプリ「下水王国」を開発した。8月1日まで大阪市住之江区で開催中の「下水道展’25大阪」(日本下水道協会主催)で体験版を公開、今年度中のリリースを目指す。
下水王国は、下水処理場の機能停止で人類滅亡の危機が訪れた世界が舞台。下水処理場内の要の設備で、下水に微生物を含んだ泥を混ぜ合わせる「反応タンク」をモデルとしたフィールドで、ボルティセラやエピスティリス、アメーバなど実在の微生物を擬人化したキャラクター「バクター」を操る。バクターの特性を生かし、次々と流れ込んでくる汚染生命体と戦い下水を浄化していくゲームだ。

バクターたちの声には、人気声優の佐倉綾音さんや悠木碧さんらを起用。バクターの育成のほか、微生物による有機物の分解を促進するため水中の酸素濃度を高める「曝気(ばっき)」の量や、水中に溶けている酸素の量「溶存酸素(DO)」の管理など、実際の下水処理でも重要な要素をゲームに盛り込み、楽しく学べるよう工夫した。
ゲームは下水処理の大切さを知ってもらおうと、社員有志のプロジェクトチーム(PT)と、スマートフォン向けゲーム開発などを行う「クローバーラボ」(大阪市北区)がコラボして開発。10万ダウンロードを目指す。
PTリーダーで明電舎オゾン技術開発課の中川彰利課長は「下水は『汚い』『臭い』と良いイメージがないが、重要な社会インフラ。ゲームで下水事業に関心を持つきっかけをつくり、教育ツールとしての活用も期待したい」とコメントした。【目野創】
Comments