愛知県豊明市は25日開会の9月定例議会に、自由時間でのスマートフォンの使用目安を1日2時間以内とするように促す条例案を提出した。小浮正典市長は提案理由を「市民の権利を制限したり、義務を課したりするものではない。各家庭で使用時間や時間帯について考え、話し合うきっかけにしてほしい」と説明した。
市は、仕事や勉強以外の空き時間にスマホを長時間使うことが、幅広い世代に悪影響を及ぼしているとし、厚生労働省の資料などから2時間以内を使用時間の目安とした。時間帯について、小学生以下は午後9時まで、中学生以上は午後10時までの使用を明記。罰則はないが、全市民を対象にした条例は全国初という。
市には21日から25日の正午までに電話で83件、メールで44件の意見が寄せられた。8割ほどは「自由を奪う権利があるのか」「条例化の必要があるのか」といった否定的な内容だった。「スマホ依存は常々感じていた。条例化を進めてほしい」と賛成する意見もあったという。
条例案は、不登校の子どもがスマホに依存し、家から出られなくなっている問題の解決策の一つで、新学期が始まる時期に合わせて提出したという。
小浮市長はスマホの利用について、「議論を重ねる中で、睡眠時間や家族とのコミュニケーションを犠牲にしている大人にも共通する課題だと認識した」と説明。その上で「特別なメッセージとして市民に重く受け止めてもらうため、条例という形をとった」とした。
条例案は委員会審議を経て、議会閉会日の9月22日に採決される。小浮市長は「議会での議論を踏まえ、修正も視野に入れて丁寧に説明したい」としている。【式守克史】
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