文部科学省は2026年度の税制改正要望で、高校授業料の無償化に関する財源確保を求める。具体的な税目は掲げない「事項要望」だが、複数の政府関係者によると、年末に向けて法人税の増税を含めて安定財源の議論を進める見通しだ。
文科省は税制改正要望で、高校授業料の無償化と併せて進める人材育成の強化にかかるシステム改革について「財源確保のための検討の開始」を求めると明記した。具体策は政府・与党や財務省、文科省などで詰める。
高校授業料の無償化は自民、公明と日本維新の会の3党が今年2月、実施することで合意。25年度予算には全世帯に年11万8800円を支給するための経費として1064億円を計上した。
26年度からは私立高に通う世帯の所得制限も撤廃することが決まっており、必要な財源規模は4000億~6000億円に膨らむことが見込まれている。
3党は「制度化による恒久的な施策の実施には恒久的な安定財源が必要」との考えで一致しており、無償化を実現するための財源探しは喫緊の課題となっていた。財源の検討の際は「子育て世帯の負担とならないよう配慮」するとしている。
文科省内には「国会審議でも既存の教育予算は削らないこととなったので、他からかき集める。税制もあるだろうし、維新が主張する行財政改革もあり得るだろう」との意見がある一方で、3党で財源の議論が煮詰まっておらず、無償化の実現可能性を疑問視する声もある。
一方、財務省は「賃上げをしながら所得税を増税することは難しく、消費税増税も現実的でない。しかし、法人税増税について経済界の理解を得るのは簡単ではない」とする。与野党間の議論や今後の政権運営の枠組みもにらみながら、関係者間で財源の検討を進める。【加藤結花、斎藤文太郎】
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