弾道ミサイルを探知・追尾するXバンドレーダーを配備した米軍経ケ岬通信所(京都府京丹後市丹後町)に関して防衛省が開催する第42回安全安心対策連絡会(安安連)が31日、同市役所丹後庁舎であった。京丹後市は、市への連絡なしに7月に同基地で陸上自衛隊と米軍との日米合同訓練が行われたとして、事実関係の確認を求めた。これに対し、防衛省近畿中部防衛局は日米合同訓練の実施について同局も把握していなかったことを認め、「事実関係を調査して回答する」と表明した。地元住民からは「シビリアンコントロール(文民統制)が無視されている。日米の軍事組織が最前線で勝手に動いており、極めて危険」との声が上がっている。
同基地では、これまでも度々日米合同訓練が実施されてきたが、防衛省は事前に市と地元区に訓練内容を連絡してきた経緯がある。今回は所管する近畿中部防衛局も訓練の実施を把握していない、異例の事態となった。
同市の中西和義・副市長がこの日の安安連で、7月16日に投稿された同基地のフェイスブックに陸上自衛隊第7普通科連隊(福知山市)と米軍の合同訓練の様子が紹介されていることを指摘し、「訓練は必ずしっかりと市と地元に連絡してほしい」と求めた。
これに対し近畿中部防衛局は「大変ご迷惑をおかけした。今後は必ず市と地元には情報を提供する」としたが、「われわれは説明できる情報を持ち合わせていない」と答えた。
同基地のフェイスブックには「部隊実動訓練の一環として総合訓練を実施した。さまざまなシナリオから構成される総合訓練は、共同の防衛力としての成功に寄与します」などと投稿されていた。
こうした事態に、基地周辺住民は「防衛当局が何も知らされないままで最前線で日米合同訓練が実施されたことが一番の問題で、事態は深刻。防衛当局が把握しないで勝手に訓練することはシビリアンコントロール上あり得ない。事実関係を徹底的に調べ、公表してほしい」と話した。
訓練を目撃した基地近くの住民によると、訓練は7月10日に実施された。【塩田敏夫】
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