
プラスチック汚染を根絶するための条約を話し合う政府間交渉委員会が5日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で始まる。合意できれば環境分野では「生物多様性保全」「地球温暖化防止」に続く大型国際条約となるが、合意期限と定めていた2024年はすでに過ぎている。規制への積極論と消極論がぶつかる交渉の焦点と、考えうるシナリオを探った。
<主な内容>
・「共同責任忘れるな」
・二つの極端な選択肢
・規制弱まれば「骨抜き」も
・注目の10日間
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「共同責任忘れるな」
「将来世代と環境を守るため、プラ汚染という喫緊の環境課題に対処する効果的で法的拘束力のある国際条約を策定する共同の責任があることを忘れてはならない」。交渉委のルイス・バジャス議長(エクアドル)は7月11日、今回の会合に向けて公表した文書で各国にそう呼びかけた。
「最終会合」の位置づけだった前回交渉委(24年11~12月)で、バジャス議長は条文案を示した。設計から生産、廃棄に至るまでプラスチックのライフサイクル全体をカバーする内容だ。今回もこの議長案が議論の出発点となる。
二つの極端な選択肢
前回、とりわけ意見対立が目立ったのは、石油から作られるプラスチックの素材(ポリマー)の「生産」にかかわる条文の扱いだ。
欧州連合(EU)や漂着ごみに悩む島しょ国などは、汚染を止めるためにはポリマーの生産量を減らす必要があると訴えた。これに対し、自国経済への打撃を懸念するサウジアラビアやイラン、ロシアなどの産油国が強硬に反対。生産規制ではなく、プラごみが環境中に流出するのを防ぐ「廃棄物管理」を強化すべきだと主張した。
議論は平行線をたどり、議長案には二つの極端な選択肢が併記されたままだ。一つは、ポリマー生産量の国際的な削減目標を「第1回…
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