<1分で解説>iPS細胞を使った心臓病の新しい治験

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移植に使われたものと同じiPS細胞由来の心血管系細胞の多層シート=アイハートジャパン提供 拡大
移植に使われたものと同じiPS細胞由来の心血管系細胞の多層シート=アイハートジャパン提供

 バイオベンチャー「アイハートジャパン」(京都市)と東京女子医大のチームが28日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った心臓の細胞を多層のシート状にし、心臓病の患者に移植する治験が始まったと発表しました。1例目の手術は5月23日に行われ、患者は4週間の経過観察を終えて退院しました。1分で読めて役に立つ「サクッとニュース」、今回は「iPS細胞を使った心臓病の新しい治験」を解説します。

Q iPS細胞ってどんな細胞なの?

A 体の細胞を特別な方法で変化させて、いろいろな細胞に変身できる人工的な細胞のことです。

Q 今回の治験はどんな病気の人が対象なの?

A 心臓の筋肉が薄くなって力が弱くなる拡張型心筋症という病気の患者さんが対象で、平地での歩行でも息切れを起こしてしまう人たちです。拡張型心筋症は、心臓移植以外に根本的な治療法はありません。

Q どんなふうにするの?

A iPS細胞から作った心筋細胞や血管内皮細胞、間質細胞を混ぜてシート状にし、それを5枚重ねて心臓の表面に移植します。

Q 多層シートにする意味はあるの?

A 多層シートにすることで細胞が長く生き残り、効果が約半年間続くことが期待されています。

Q シートから何か特別なものが出るの?

A このシートからはサイトカインという生理活性物質が出て、傷んだ心臓の組織を修復し、心臓の力を強くします。

Q 今回の治験の特徴は何かな。

A アイハートジャパン科学顧問の山下潤・東京大特任教授は「我々は複数種の細胞を混ぜ、さらに多層構造にしたことが大きな特徴だ。これにより組織を修復するサイトカインなどの量が増え、高い効果が得られるとみている」と話しています。治験は2027年3月までの想定で、安全性と有効性を確認し、製造販売の承認申請を目指します。

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